公務員は仕事が安定しているため職を失うことがなく、社会的信用度が高いイメージがあります。そのため「公務員を辞めたい」と親や同僚などに相談をしても反対されてしまう場合が多くあります。
さらに「公務員を辞めて再就職できるのか」「民間企業に転職して上手くやっていけるか」などの不安から、公務員を辞めることを躊躇ってしまう方も多いです。
公務員の仕事が考えていた業務内容と異なっていたり、残業が多かったりと辛さを感じながら日々の仕事を続けていくことは心身に異常をきたす原因となります。
今回の記事では、公務員を退職するメリットやデメリット、転職活動のコツなど公務員を辞めたい方が知っておくべきことについて紹介します。
公務員を辞めるか悩んでいる方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
公務員の仕事を辞めたい理由
公務員は、大きくわけると地方公務員と国家公務員にわかれます。2022年1月に「リスクモンスター株式会社」が実施した「第8回就職したい企業・業種ランキング調査」 では、4年連続で上位2業種を「地方公務員」と「国家公務員」が占めており、調査の結果から見てもどちらも安定しているため人気の職業といえます。
しかし、人気である一方で公務員を辞めたい方が多いのも事実です。
総務省が発表した「令和2年度地方公務員の退職状況等調査」によると、令和2年度中に退職した地方公務員125,877人のうち、普通退職をしている方は44,181人と、全体の約35.1%を占めています。
退職者のうち約3人に1人以上が自ら退職している現状です。安定していると人気のある職業でありながら、なぜ公務員を辞めたいと感じるのか、公務員を辞めたくなる理由を6つ紹介していきます。
職場の人間関係に悩んでいる
公務員に限らず職場の人間関係は悩みの大きな原因といえます。転職理由の調査でも、業種を問わず、上位にあがる理由です。
職場では、同僚や上司は自身で選択できないため、自身とはまったく異なる考え方や価値観を持つ方と上手に付き合わなければなりません。
本心では「合わない」と感じていても、職種によっては家族以上に長い時間を過ごさなければならないため、職場は人間関係の悩みが生じやすいといえます。
公務員は人事異動の機会が限られている特殊な環境から、同僚や上司がいつ変わるか見通しがたちにくい職業です。人間関係に悩みを持った場合、悩みが長期化しやすい環境にあるといえます。
仕事が面白くない
公務員の仕事がそもそもおもしろいと感じないことから、公務員を辞めたいと考える方も多いです。公務員の仕事に人気が高い理由は給与面や福利厚生などが安定している面です。そのため、公務員の仕事内容から就職を決めているわけではない方が多く、モチベーションの維持が難しい状況にあるといえます。
公務員として実際に働きはじめ、イメージしていた仕事と違ったり、想像していた以上に日々の業務にやりがいを感じられなかったりすると、公務員の仕事に面白さを感じられず仕事が辛いものになってしまいます。
とくに公務員は職種によっては、書類やデータ管理などの単純作業がメインとなる場合も多く、日々変化のない環境下から仕事がマンネリ化してしまいやすい環境です。公務員の給与体制は今なお年功序列のため、仕事で成果を出していなくても働き続けていれば、一定の昇進や昇給が確約されています。
一方で若手職員が多大な成果を収めても、給与やボーナスなど目に見える形での評価はされにくい環境です。公務員の安定性を叶えている保守的な体制は、成果の重視は難しいため、仕事へのやりがいを持ち続けにくいものです。
さらに、公務員は新しい画期的なシステムの導入を検討しても、導入には税金を利用するため厳しい長期的な審査を通過しなければなりません。よって、多くの公務員は新しいシステムの導入を躊躇うことが多く、変化をもたらそうとする意識の方は少ない環境です。
公務員の平均年齢は40歳以上と高いことからも、非常に効率的なシステムを導入しても浸透させることに苦労したり、使いこなせい方が多かったりと問題が多々あります。
仕事で成果を収め、効率的に業務をおこないたいと思っている方にとっては「公務員の仕事は面白くない」と感じてしまうものです。
残業・時間外労働が多い
公務員には、「定時であがれる仕事」のイメージがあるものです。しかし、公務員のなかには労働基準法の適用外になっている職種もあるため、働きはじめると現実とのギャップが大きく、残業や時間外労働時間の多さから辞めたいと感じてしまいます。
最近では、2021年の厚生労働省は新型コロナウィルスの対応により、職員が全体の約5分の1の方が過労死ラインである月80時間以上の残業をし、200時間以上の残業をした方もいたことから、ニュースに取り上げられました。
これは単に新型コロナウィルスの影響というわけではありません。新型コロナウィルスが流行する前の2015年度に発表された総務省の「地方公務員の時間外勤務に関する実態調査結果」によると、年間の時間外労働時間数は国家公務員は約233時間、地方公務員は約158.4時間だったことが報告されています。民間企業が約154時間だったことと比較しても、公務員の時間外労働時間は新型コロナウィルスのような突発的な影響を除いても多いことがわかります。
公務員の仕事は新型コロナウィルスの対応やほかの災害発生時などの緊急時の対応に追われると勤務時間は長くなるものですが、ほかにも土日祝日の窓口対応やイベント対応などもあるため、必ず定時にあがれる職場とはいえません。
とくに官公庁で働く国家公務員のなかには、連日徹夜だったり何日も自宅へ帰れなかったりと厳しい労働環境の方もいます。また、消防士や警察官なども、突発的な対応には仕事が優先となるため、自宅にいてもスマートフォンを気にしながら生活をしなければなりません。
一口に公務員といっても、職種や職場はさまざまなため、配属された場所によっては過酷な勤務の場合があります。
給料に不満がある
公務員の給与は民間企業の水準とバランスをとって決定します。そのため、毎年のように公務員の給与は若干の調整をしながら決定していきます。人事院が発表している「国家公務員給与実態調査」では、2020年の国家公務員の平均給与月額は約41万5,000円、総務省が発表している「地方公務員給与実態調査」では地方公務員の平均給与月額は約36万円の結果でした。
ほかにボーナスがあるため、少ない給与ではありませんが、公務員の平均年齢が40代前半であることから多い給与とはいえないものです。給与に不満があったとしても、ストライキが禁止されているため給与の賃上げ要求はできません。
自力で給与をあげようと頑張っても年功序列な制度であるため、仕事で成果をあげてもなかなか給与には反映されず、長く勤めなければ給与はあがりません。
また退職金の減額や年金制度が変更されたことで、給与の安定性はあっても先々の不安は以前に比べて増したことからも給与に不満を感じている方は多くなります。
たとえば、2012年に国家公務員の退職金が民間企業と比較すると約400万円高かったことから、見直しを図り支給水準が引き下げられました。
また、保険料率の低い「共済年金」が廃止され、厚生年金に一本化となりました。保険料負担がない優遇制度が廃止になり、保険料負担の「年金払い退職給付」制度が新設され、積み立て方式に切り替えられたことにより、年金額は減っていることが現状です。
そのため保険料の負担額は増えていますが、もらえる年金額は減っていることが現実といえます。
理不尽な要求にストレスが溜まる
多様な職種がある公務員のなかでも、役所や関係の窓口対応をする方は理不尽な要求に対応する機会が多いといえます。窓口に来る方は多種多様で、なかには次のような方がいます。
- 理由を粘り強く説明しても納得してもらえない
- 同じ話を何度も繰り返し話しが進まない
- 一方的なクレーム
- 同じクレームを窓口で怒鳴り散らす
- 同じクレームを電話で繰り返す
- 「お客様扱い」をしてもらえると思っている
- 「訴える」と脅してくる
- 暴力を振るおうと脅してくる
などと多様な対応を日々していかなければなりません。国民や市民には真摯に対応しなければならず、大きなストレスを抱える要因になります。
モチベーションが上がらない
公務員ならではの保守的な体制から、仕事へのモチベーションを低下させやすい環境であることも要因といえます。公務員は完全な年功序列の組織であるため、どれほど仕事で成果を上げても昇給や昇格にはなかなか影響しません。
民間企業の場合は「仕事の成果」と目に見える目標を持って働きますが、公務員の場合は「仕事の成果」が数字に表れにくく、目標を見つけられずモチベーションが低下しやすいものです。そのため、仕事で成果を出して昇進しようと考える方は、民間企業で仕事をしたいと考えるケースもあります。
公務員の仕事を退職するメリット
では、公務員を辞めたいと考えている方にとって知っておく必要がある、公務員を退職するメリットについて3つ紹介します。公務員を退職した場合、自身の考えているメリットが得られるか、しっかりと確認しておきましょう。
給料が上がる可能性がある
公務員を辞めたいと話しをすると「公務員を辞めると給与が下がる」「再就職先がない」などとよく耳にしますが、民間企業に転職すると給与が大幅に増える可能性があります。
なぜなら公務員の年功序列制度とは違い、民間企業では仕事の成果を重視する会社が多いためです。自身の努力による成果次第では昇給の可能性があるので、公務員時代よりも目に見えて給与があがる可能性があります。
しかし、民間企業でも年功序列制度を採用している会社もあるため、転職先を選択する際には事前に確認が必要です。勤続年数によらず、自身の成果によってキャリアアップを目指したい方には魅力的といえます。
残業時間・労働環境の改善が見込める
公務員は労働基準法が適用されるのは地方公務員の一部で、多くの地方公務員とすべての国家公務員には労働基準法が適用されません。たとえば公立学校の教員は法律の定めによって給与の数%分を上乗せされる分、持ち帰っての仕事や休日の部活指導などは、何時間おこなってもお金は支払われません。
民間企業であれば、労働基準法が適用されるため残業時間や労働環境の改善を図ることが可能になります。公務員時代には不信に思っていたことも、法律の基に守ってもらえるようになるため、不信感を声に出すことが可能です。
キャリアの選択肢が広がる
公務員は就職するとおおよその生涯収入を見込みで計算可能です。自身の人生設計を建てやすい反面、収入から生活環境の限界値も早めに予測をつけることが可能なため、自身の可能性に見切りをつけてしまうことがあります。
公務員を辞めると選択肢は大幅に広がるものです。職業や収入が変わり、新たな出会いや気づきも生まれるため、自身のキャリア設計の可能性が大きく広がっていきます。
自身のキャリアを幅広く選択したい方には、公務員を辞めるメリットは大きいといえます。
公務員の仕事を退職するデメリット
公務員を辞める際はデメリットも存在します。後悔しないためにも退職する前にデメリットも確認しておきましょう。
安定した給料や保障を失う
民間企業と比較して決して高収入なわけではありませんが、給与が下がる心配をほぼしないで生活できることが公務員の大きなメリットです。年功序列制度のため、働き続けてさえいれば自動的に昇給していき、リストラのリスクも低いので人生設計を建てやすいといえます。
しかし、公務員を辞めると多くの民間企業が成果主義の雇用形態であるため、転職先が見つかれば安泰になるわけではありません。
公務員であれば各種手当や退職金などの福利厚生が充実していますが、民間企業では退職金制度が存在しないことも多々あります。将来設計を見据えながら転職先を選択する必要があるといえます。
社会的信用が低くなる
公務員は民間企業と比較して給与が安定して保証されているため、住宅ローンやカードローンなどの審査も通過しやすくローン枠も大きくなるといえます。
公務員から民間企業に転職した場合、大抵は公務員時代と比較して社会的信用は低下します。信用してもらえる力の強い「公務員」であることを手放したくない方は、慎重に決断しましょう。
民間企業への転職が成功するとは限らない
公務員を辞めて転職したからといって必ずしもすべてが解決し、成功するとは限りません。公務員とは違い、民間企業ではビジネスとしての成果を求められることが多いです。
また、中途採用は即戦力採用が多く、転職先では今までの成果や貢献度を求められますが、公務員はビジネスではないため今までの成果がわかりづらい職業です。
公務員として今まではビジネスとは異なる価値観で仕事をしてきた方にとって、民間企業の考えに違和感を感じることも多くあります。転職しても成果を出していかなければ成功は難しいといえます。
公務員の仕事を退職する前にできること
公務員を辞めたいと一度感じてしまうと「早く退職したい」「もう職場にいきたくない」などと退職ばかりを考えてしまいがちです。しかし、闇雲に退職を考えるばかりではなく、退職する前にできることへ目を向けることをおすすめします。
退職してから後悔しないために、しっかりと確認しておきましょう。
周りに相談する
公務員を何らかの原因で辞めたいと感じたら、周囲の信頼出来る同僚や同期などに相談してみることをおすすめします。辞めたい気持ちが強くなると、公務員の嫌な面ばかりが目に入るようになり、次第に辞めることを前提とした考えになってしまう可能性もあります。
親身になって相談できる方に話しをしてみることで、冷静な意見を取り入れ、自身の状況を整理してみましょう。
仕事内容を見直す
仕事内容が嫌になってしまった方は、公務員を辞める前に自身の仕事の取り組み方を変えてみましょう。日々の仕事が嫌になってしまったり、時間外労働の長さが嫌になってしまったりした方は、取り組み方を変えるのみで異なる視点に立てる場合もあります。
たとえば、自身が本当に必要と感じる仕事にのみ取り組んでみたり、仕事の方法を改良や改善してみたりすると改善方法が見つかり好影響をもたらすこともあります。また、いい提案と感じたことは、上司に業務改善の提案をおこなうと時間外労働の大幅削減に繋がる可能性もあります。
まずは現在の仕事のを見直し、改善に向けた行動をしてみることをおすすめします。
仕事に対してやりがいを探す
仕事へのモチベーションが保てずに公務員を辞めたいと感じている方には、短期的な仕事に目標を持ち、小さなことから1つずつおこなうことをおすすめします。長期的な目標はイメージが難しいですが、目の前の小さな仕事に1つずつ目標を持つことは決して難しくありません。
毎日目標に向かって仕事ができていることが大切なため、仕事へのやりがいに変化が現れる可能性があります。また、民間企業で働いている方の意見を聞いてみるとまったく異なる価値観であることが多いため、新しい視点を持つ機会になるためおすすめです。
自身で変えられる部分を探す
公務員を辞めたいと考えている方は、公務員の組織に何かしらの不満を持っているものです。退職前に、公務員への不満について自身で変えられる部分はないか探ってみましょう。
もちろん、公務員は年功序列の組織であるため改善可能な点は限られますが、自身の行動によって改善を図ることが可能であれば全体にとって有意義なものとなります。
退職前に今一度、自身で変えられる部分がないか、見直してみましょう。
福利厚生の視点からよく考える
公務員を辞める前に、公務員の大きなメリットである福利厚生が充実している点から考えておくことが大切です。公務員は民間企業と比較して給与面では大きな違いはないものの、福利厚生面では休暇の種類の多さや充実した退職金など、民間企業よりも非常に充実しています。
福利厚生面では、退職後に同じ待遇を受けることは現実的に難しいことを踏まえて行動しましょう。
公務員の仕事を辞めたい場合の選択肢
公務員を辞める場合、「公務員を辞めた後は民間企業に就職する」イメージが強いですが、選択肢は1つではありません。
辞めたいと思っていても、すぐに辞めることのみが選択肢ではないため、次に紹介するとおり自身にあった選択しましょう。
民間企業に転職する
公務員を辞めた後、民間企業に就職ことを考えてる方は多いものです。民間企業への転職は、次のような方に向いているといえます。
- 公務員の保守的な考えがあわない方
- 自身の成果によって評価されたい方
- 仕事のやりがいを求める方
- 安定した収入よりも実力で収入を得たい方
民間企業に転職した当初は収入が下がる可能性が高いですが、実績が評価されやすいため、成果次第次第で収入アップが可能です。
異なる業務の公務員に転職する
公務員を辞めたい方も、業務を変えて再び公務員として働く方法もあります。業務を変えて公務員を続けることは、次のような方に向いています。
- 現在の人間関係や仕事内容に悩んでいる方
- 専門知識の習得ができる方
- 公務員の制度や安定保障を失いたくない方
- 今まで培ってきた経験を活かしたい方
注意点は公務員の業種変えであっても試験が必要であったり、年齢制限があったりする場合が多いことです。地方公務員から国家公務員になったり、反対に国家公務員から地方公務員になったりするケースが多く見られます。
検討している方は、事前に制度を確認しましょう。
異動希望を出して部署や職場を変える
公務員を辞めたいと考えていても、すぐに辞める選択肢をせずに、同じ業種の中で異動希望を出して悩みを解決する方法もあります。異動希望によって解決を図る方法は、次のような方に向いています。
- 人間関係や職場環境に悩んでいる方
- 公務員の制度や安定保障を失いたくない方
- 今まで培ったスキルを活かしたい方
業種によって異なりますが、公務員は毎年春と秋に人事異動が発令される傾向にあります。人事担当者が異動先を決める資料として、異動前には「異動希望調査」がおこなわれるため、希望する部署や理由を記載して提出しましょう。
一般的に異動希望の理由は、ネガティブな理由である場合には見送られる可能性が高いとされています。記載する異動理由は「異動先で頑張りたい」と前向きな理由の記載をおすすめします。
休職する
公務員を辞めたいと考えていても、転職先や異動希望先が定まっていない方は、一旦休職する方法もあります。次のような方は、休職を検討してみることをおすすめします。
- 人間関係に悩んでいる方
- 残業で疲れきってしまっている方
- 一旦気持ちを落ち着けて自身を振り返ってみたい方
公務員で休職が許可されるには、国家公務員は人事院規則に、地方公務員は各条例の規定に沿った手続きが必要です。公務員の休職は病気以外では利用するハードルは高いものですが、病気やメンタル不調などは診断書があればすぐに休職可能です。
病気による休職中であっても一定期間は給与が満額支給されるため、手厚い保障が受けられます。公務員を辞めたいと考えていても、休職の制度を利用可能な状況であれば、利用を検討してみることをおすすめします。
公務員の仕事を退職する際の注意点
公務員を辞めると決断していたとしても、役職についている場合、在職中は転職活動ができないと注意点があります。
公務員を辞める前に知っておくべき注意点を紹介していきます。退職前に必ず確認しましょう。
失業保険が受けられない
公務員は民間企業と違い、退職しても雇用保険に加入していないために失業手当の支給対象外になります。転職先が決まっていたとしても、仕事が始まるまで期間が開いている場合には、無収入の期間が発生する可能性があるため注意しましょう。
退職手当は勤務年数に応じた計算方法で支給されますが、勤務年数が短ければ大きな金額は支給されません。可能な限り、退職前にある程度の生活費の準備をおすすめします。
在職中の転職活動が可能であるか確認する
一般的な転職活動といえば、退職前に新しい勤務先を見付けておくものですが、公務員の場合は一定の役職以上の方は在職中の転職活動を禁止されているため注意が必要です。公務員の特殊性といっていいほどの特殊な例といえます。
一定の役職とは、国家公務員の「本省課長補佐級以上」の役職の方を意味します。一定の役職以上ではない国家公務員の方や地方公務員の方は禁止されていないため、転職活動が可能です。
辞める時期・タイミングに気を付ける
公務員を辞める前に、ボーナスや退職金の支給時期を確認しておきましょう。あと少しでボーナスを支給されたり、勤続年数があがり退職手当の支給額に影響があったりする場合があります。
早めに確認し、退職時期を定めておくことで残りの勤務日数を有給休暇で消化も可能なため、損をしないように給与や手当の支給時期を確認して退職までの期間を有意義に過ごしましょう。
本当に辞めるべきかよく考える
公務員を退職する前には、大前提として本当に辞めるべきかどうなのかをよく考える時間が必要といえます。公務員自体が嫌なのか、職場が嫌なのかをよく見定めることが大切です。
公務員自体が嫌であれば、民間企業の選択を検討しますが、職場が嫌であれば、異動希望を出してみることも選択肢の1つといえます。
公務員を辞めたい原因を整理すると、転職活動をする際にも職種を選択する機会になるため、よく考えて選択しましょう。
公務員から民間企業へ転職する際のポイント
公務員から民間企業に転職する際には、今までとまったく異なる世界が広がっているため、戸惑うものです。公務員を辞める理由はさまざまにありますが、同じ失敗をしないためにも転職先選びはしっかりと理由を持っておこないましょう。
公務員として働いてきたスキルや経験を活かした転職をする場合には、自身で転職先を探すことも可能ですが、まったく未経験のジャンルに転職する場合には不安がつきものといえます。
公務員から民間企業に転職する際のポイントを紹介していくため、失敗しないように確認しましょう。
公務員の経験・スキルを活かせる仕事に就く
公務員として働いてきた経験やスキルを活かした仕事をしていきたいと考える方は多くいます。公務員時代と同じ内容の仕事ができる民間企業への転職は、公務員の仕事が嫌いではなく、職場環境や人間関係に悩みがあって退職した方にはおすすめです。
公務員のなかでも、次のような職種経験であれば、民間企業にも公務員の経験を活かした仕事ができる可能性が高いといえます。
公務員時代の職種 | 転職先の例 |
---|---|
教師 | 私立学校の教師・塾の講師・教育関連事業 |
警察官 | 警備会社(正社員・指導員・幹部候補) |
税務署職員 | 税理士・ファイナンシャルプランナー |
労働基準監督署職員 | 社会保険労務士・コンサルタント |
法務局職員 | 司法書士・行政書士・法律事務所・コンサルタント |
国有財産管理官 | 不動産鑑定士 |
医療機関職員 | 民間医療施設 |
医療機関職員(有資格者) | 医師・看護師 |
研究員 | 民間研究所・大学教員 |
役所関係の窓口や事務職などは、現実的には経験を活かした仕事は難しいといえます。民間企業でも窓口や事務職の需要はありますが、マニュアルや方法が異なるため、即戦力とは言い難いでしょう。
また、公務員時代のスキルを活かす仕事に就いたとしても、実質は中途採用の1年目の職員です。給与は下がることを想定しておいた方がいいといえます。
公務員の経験が活かせる仕事に就けたとしても、気持ちは新入社員のつもりで一から学ぶ姿勢での努力を重ねることが大切です。
転職エージェントを利用する
公務員を退職し、民間企業への転職を決めていても、「自身の強みがわからない」どうやって転職先を見付ければいいのかわからない」などと悩む方は転職エージェントの活用をおすすめします。
転職エージェントは専門家が在籍している場合が多く、転職希望者のサポートが可能です。転職エージェントのサポート内容は次のとおりです。
- カウンセリング
- 転職先の紹介
- 履歴書の書き方や面接時のアドバイス
- 給与や待遇面などの交渉
- 退職手続きサポート
- 転職後のサポート
また、転職エージェントは独自の繋がりから非公開求人情報を持っている場合もあります。転職先に悩み、アドバイスが欲しい場合には利用を検討してみることをおすすめします。
まとめ
公務員を辞めたい方の理由や、退職のメリットデメリットなどを紹介してきました。公務員は確かに安定した収入や手厚い福利厚生が魅力的ですが、特殊な職場環境から悩む方が多い実情もあります。
どれほど待遇がよくても、心身を故障するほどに疲弊してしまっては元も子もありません。「公務員を辞めたい」と感じたら、まずは信頼できる相手に相談し、自身の置かれている状況をよく確認してみることから始めましょう。
公務員、民間企業を問わず自身に合った職場環境を見付けるためには、幅広い視野を持って検討してみることが大切です。