【2024年版】退職代行の失敗とは?失敗事例やトラブル回避のための退職代行サービス選びのポイントを解説

退職代行サービスを利用すれば、労働者の代わりに退職手続きを進めてもらえます。

自身で会社に退職の意思を伝えづらい方にとっては、心強いサービスです。

しかし、退職代行を利用したからといって、必ずしも退職がスムーズに進むとは限りません。

退職代行サービスでトラブルに巻き込まれ、失敗する方がいるのも事実です。

本記事では、退職代行における具体的な失敗事例を紹介します

さらに、退職に失敗しないために知っておきたい退職代行サービスの選び方や事前準備についても解説します。

退職代行サービスの利用を検討している方は、本記事の内容を参考にしてください。

目次

退職代行における「失敗」とは?

退職代行サービスで失敗するケースは主に次の9つです。

  • 会社が退職を認めない
  • 退職金や未払い給与・残業代などを払ってもらえない
  • 有給休暇が消化させてもらえない
  • 退職に必要な書類が送られてこない
  • 会社から直接連絡が来る
  • 出社しなければならない
  • 懲戒解雇される
  • 会社から損害賠償を請求される
  • 上司や先輩から嫌がらせを受ける

退職代行サービスの主な失敗例について、概要や原因を詳しく解説します。

会社が退職を認めない

退職代行サービスの失敗例で最も代表的なのは、会社から退職を認めてもらえないケースです。

とくに民間の退職代行サービスを利用した場合、会社から退職を認められない可能性があります。

退職代行サービスの運営元は「弁護士」「労働組合」「民間業者」の3つに分けられます。

このうち民間業者は、会社と退職時の条件について交渉する権利を有していません。

民間の退職代行サービスは、基本的に退職希望者の意思をメールや書面で代弁するのみです。

会社が頑なに退職を認めない場合には、対応できない可能性があります。

民法627条1項では、退職希望者は申し入れから2週間後に退職できると定められています。

労働者として当然の権利を主張するためにも、法的措置に対応できる退職代行サービスを選ぶことが重要です。

退職金や未払い給与・残業代などを払ってもらえない

本来であれば退職時に受け取れるはずの退職金や未払い給料があるにもかかわらず、会社側が支払いに応じないケースです。

退職代行サービスのなかでも、とくに民間業者を利用した場合に起こりがちなトラブルです。

弁護士もしくは弁護士法人でない者が報酬を目的として法律事務を取り扱う行為は、非弁行為と呼ばれます。

非弁行為は弁護士法第72条で禁じられているため、弁護士が在籍しない民間の退職代行サービス業者は金銭の支払いに関して企業と交渉できません。

退職金や未払い給与、残業代を確実に支払ってもらいたい場合は、弁護士が運営する退職代行サービスを利用しましょう。

なお、労働組合が運営する退職代行サービスも、弁護士と同様に法律事務を取り扱えます。

労働組合が退職金や未払い給与などの支払い条件について交渉する権利は、憲法第28条と労働組合法で認められています。

より確実に金銭を受け取りたければ、弁護士もしくは労働組合が運営する退職代行サービスの利用がおすすめです。

有給休暇が消化させてもらえない

退職までに有給休暇をすべて消化させてもらえないケースです。

労働基準法においては、企業に半年以上雇用されていて全労働日の8割以上を出勤している労働者であれば、誰でも必ず有給休暇を取得できると定められています。

しかし、法律への理解が乏しい企業の場合、退職者に有給休暇の取得を認めない事例があることも事実です。

退職金の支払いと同様に、弁護士もしくは労働組合であれば企業に対して有給休暇の取得を交渉できます。

確実に有給休暇を取得したい場合は、弁護士や労働組合が運営する退職代行サービスを利用しましょう。

退職に必要な書類が送られてこない

離職票や退職証明書、源泉徴収票などの退職関連書類を請求しても届かないケースです。

これらの書類が送られてこない原因には企業の知識不足や、退職代行サービスを利用して会社を辞める退職希望者への嫌がらせなどが考えられます

離職票がなければ、退職後に失業手当を受給できません。

退職証明書は転職先やハローワークから提出を要求される可能性があります。

源泉徴収票は退職後、転職先での年末調整や確定申告を実施する際に必要です。

いずれの書類も退職企業者にとって非常に重要なもので、企業から送られてこなければさまざまなトラブルに発展する可能性があります。

会社から直接連絡が来る

退職代行サービスを利用した後、退職希望者のもとへ会社から直接連絡がくる場合もあります。

退職希望者のなかには「会社の人間と連絡を取りたくない」「上司や同僚に引き止められたくない」などの理由から、退職代行を利用する方も少なくありません。

退職代行を依頼したにもかかわらず、会社と直接連絡を取るのは大きなストレスになります。

退職代行サービスを利用する際は、サービス利用後にも会社との連絡をすべて代行してもらえる業者を選ぶことが重要です。

業者比較サイトやSNSなどで実際の利用者の口コミをチェックして、会社との連絡をすべて仲介してもらえるかどうかを確認しましょう。

会社に出社しなければならない

退職手続きを進めるなかで、会社から出社を命じられる可能性も考えられます。やむを得ず出社しなければならないケースは主に次の2つです。

  • 退職金・未払い給与の支払い
  • 離職票・退職証明書の受け渡し

会社に出るとなると、あらためて自身の口から上司や会社関係者に退職の意思を伝えなければなりません。

会社関係者とこれ以上顔を合わせたくないために退職代行サービスを利用する方にとっては、退職の意思を示した後の出社は大きな負担になります。

退職代行サービス業者を選ぶ際は、出社せずに退職できる業者かどうか非常に重要です。

懲戒解雇される

退職代行サービスを利用する際、懲戒解雇のリスクを心配する方もいます。

確かに、退職代行サービスを利用せずに会社を無断で欠勤し、会社からの連絡に応じなければ懲戒解雇の対象になり得ます。

しかし、退職代行サービスを正式に利用した方は懲戒解雇の対象にはなりません。

退職代行サービス業者が退職希望者と会社の間に立って連絡を取り合う限り、無断欠勤や音信不通とはみなされないため安心しましょう

会社から損害賠償を請求される

会社に退職を申し出たあとに「会社から損害賠償を請求されるのではないか」と心配する退職希望者もいます。

実際に過去の判例を見ると、ある従業員が病気を理由に退職したことで会社に損害が生じたとして損害賠償請求が認められたケースも存在します。

しかし、退職自体は労働者に与えられた権利です。

自身の業務を適切に引き継ぎ、定められたルールに従って退職手続きを進めれば、会社から損害賠償を請求されることはありません。

また、退職者への損害賠償請求は会社にとって工数面でも費用面でも大きなコストを伴います。

したがって、賠償請求をしてまで退職者を咎めたい会社は決して多くないことも事実です。

上司や先輩から嫌がらせを受ける

退職代行サービス利用者によっては、職場の上司や先輩から嫌がらせを受けたり、非難されたりするのではないかと心配する方もいます。

嫌がらせの方法は、陰口を言われる、執拗に引き止められる、懲戒解雇や賠償請求の脅しを受けるなどさまざまです。

会社と直接連絡を取ったり、出社したりすれば、その分嫌がらせを受けるリスクが高まります。

できる限り嫌がらせのリスクを減らすためにも、会社と一切コンタクトを取らずに辞められる退職代行サービスを選ぶことが重要です。

退職代行サービス選びで失敗した事例

退職代行サービスで実際に起こり得る失敗事例は次のとおりです。

  • 料金支払い後に業者と連絡が取れなくなった
  • 想定外の追加料金が発生した
  • 交渉権がない業者に依頼した
  • 即日対応してもらえなかった

退職代行サービス選びに失敗する代表的な事例4つを詳しく紹介します。

料金支払い後に業者と連絡が取れなくなった

退職代行サービス業者のなかには、詐欺を目的とした悪質な業者もいるため注意が必要です。

詐欺業者は退職希望者からサービス料金を受け取った後、一方的に連絡を絶ちます。

料金を回収しようとしても、詐欺業者はさまざまな手段で行方をくらませるため、最終的に泣き寝入りとなる恐れがあります。

実際に退職代行サービスで詐欺被害に遭った被害者は少ないものの、貴重なお金を無駄にしないためにも詐欺業者には警戒が必要です。

詐欺業者は競合他社よりも料金を低く設定して利用者の気を引こうとするため、明らかに料金が安い退職代行サービスは詐欺の可能性を疑いましょう

想定外の追加料金が発生した

サービス利用後に業者から追加料金を要求され、当初想定していた費用を大幅に上回ってしまった失敗談も見受けられます。

退職代行サービス業者によっては、未払い給与の請求や退職関連書類の引き取りなどで別途料金が必要です。

想定外の追加料金に困窮しないために、あらかじめサービス料金と対応業務を入念に確認する必要があります。

追加料金について業者公式サイトに明示されていない場合は電話やメールで直接問い合わせましょう。

また、残業代請求や書類請求など代行してもらいたい内容が基本料金に含まれているのかも、あわせて確認してみてください。

交渉権がない業者に依頼した

退職代行サービス業者のなかには、未払い給与の支払いや有給休暇の取得に関して企業と交渉する権利を持たない業者もいます。

交渉権がない業者に依頼すると、本来受け取れるはずのお金や有給休暇を受け取れないリスクがあります。

弁護士もしくは労働組合が運営する退職代行サービスを利用すれば、未払い給与や有給休暇取得に関して会社と交渉が可能です。

退職代行サービスを選ぶ際は、交渉権を持つ業者が提供しているサービスなのかチェックしましょう。

即日対応してもらえなかった

公式サイトや広告では即日対応可能と謳っている退職代行サービスであっても、実際に利用してみたら即日対応してもらえなかったケースもよく見受けられます。

退職代行サービス利用者の大多数は、すみやかに退社するために代行サービスを申し込みます。

即日対応してもらえず、何日も出社する羽目になってしまうのは本末転倒です。

即日対応の可否は電話やメールで確認できます。

大半の退職代行サービスは無料電話相談を実施しているため、即日対応してもらえるかどうかサービス利用前に聞いておきましょう

【トラブル回避】退職代行選びのポイント

退職代行サービス選びにおいて、不要なトラブルを回避するために知っておきたいポイントは次の9つです。

  • 利用料金が適切
  • 自身の求める業務内容に対応している
  • LINEなどのチャットサービスで相談可能
  • 100%の退職実績と信頼できる口コミ・評判がある
  • 弁護士が対応・監修または労働組合が運営している
  • 非弁行為などの違法行為をしていない
  • 返金保証や後払い制度がある
  • アフターサポートが充実している
  • 即日退職に対応している

サービスの利用を検討している方は、これらのポイントを押さえて信頼できる退職代行サービスを見極めましょう。

利用料金が適切

複数の退職代行サービスを比較する際は、業者ごとの料金に注目してください。

一般的に、退職代行サービスの費用は30,000円〜50,000円が業界相場です。

50,000円以上の料金を設定している業者は高額すぎるため、別の業者への依頼を検討しましょう。

なお、退職代行サービス業者によっては、費用を極めて安価に設定しているケースがあります。

業界全体の費用相場に対して安すぎる退職代行サービス業者は、詐欺を目的とした悪徳業者の可能性が高いため注意が必要です。

また、業務内容によって追加料金が発生する業者もあるので、最終的な費用がいくらになるのか事前に想定しておきましょう。

自身の求める業務内容に対応している

退職代行サービスは業者によってカバーされている業務内容に差があります。

未払い給与の請求や退職関連書類の受け取りなど、自身が退職代行サービスに求める業務内容が十分にカバーされているかどうかは事前に確認しましょう

退職代行サービス業者のなかには、業務内容によって追加料金が発生するケースもあります。

最終的な費用がいくらになるかわからずに不安な方は、追加料金なしの料金プランを設定している退職代行サービスの利用がおすすめです。

LINEなどのチャットサービスで相談可能

退職代行サービスの利用を検討する方のなかには、日頃の仕事が忙しいために業者へ連絡する時間が確保できない方が少なくありません。

退職代行サービスに手軽さを求める場合は、チャットアプリでの相談に対応している業者を選びましょう。

退職代行サービスの多くは、退職希望者との連絡ツールとしてLINEを導入しています。

LINEで連絡が取れる業者であれば、プライベートな連絡のついでに気軽に相談できるため、忙しい方におすすめです。

100%の退職実績と信頼できる口コミ・評判がある

信頼できる退職代行サービスを選び抜くうえで欠かせないのは、過去の退職実績と利用者からの口コミのチェックです。

実際に退職代行サービスの公式サイトを調べると、大半の業者が「退職実績100%」を謳っており、好意的な口コミを多数掲載しています。

しかし、どのような成果を以て退職実績とみなすかは業者によって異なります。口コミに関しても、自社に批判的な口コミをわざわざ公式サイトに記載する業者はいません。

Twitterや掲示板などの外部サイトで業者を調べると、サービス内容に対する生の声が多数寄せられています。

業者の公式サイトに記載されている実績や口コミは参考程度にとどめ、よりリアルな口コミや評判は外部サイトで調べましょう

弁護士が対応・監修または労働組合が運営している

退職代行サービスを利用する際は、弁護士自らが案件に対応しているサービスが最も理想的です。

そのほか、企業に対して団体交渉権を行使できる労働組合が運営している退職代行サービスも、未払い給与や有給休暇の取得を交渉するうえで有利に立てます。

退職代行サービスのなかには、弁護士でも労働組合でもない民間企業が運営するサービスも存在します。

民間の退職代行サービスは費用を安く設定しているケースが多いため目を引かれてしまいがちですが、会社との交渉力に欠ける点がデメリットです。

どうしても民間の退職代行サービスを利用する場合は、弁護士の監修を受けているサービスを選びましょう。

公式サイトで弁護士の顔や名前、所属事務所などを公開している退職代行サービスであれば、会社側は退職に応じてくれやすくなります

非弁行為などの違法行為をしていない

弁護士もしくは弁護士法人ではない民間業者が報酬目的で法律事務を取り扱うと、非弁行為とみなされます。

非弁行為は弁護士法で違法と定められているため、退職代行サービスを利用する際は非弁行為を犯していない業者を選びましょう。

退職代行サービスにまつわる法律事務には、会社に対して未払い給与を請求する、余っている有給休暇の取得を要求するなどの行為が挙げられます。

弁護士が在籍していない民間の退職代行サービス業者は、これらの法律事務に関与できません。

退職代行を依頼する際は、業者のサービス内容が非弁行為に該当しないことを事前に確認しておきましょう

返金保証や後払い制度がある

返金保証や後払い制度が用意されている退職代行サービスは、信頼性が高いためおすすめです。

退職代行サービスの費用は基本的に前払いが前提で、業者によっては退職が失敗した場合でも返金保証がないケースもあります。

費用を前払いしたのちに、業者と連絡が取れなくなる詐欺被害も稀に存在します。

退職代行サービス業者の返金保証や後払い制度は、自社サービスに対する自信のあらわれです

また、仮に退職が失敗したとしても、返金保証もしくは後払い制度があれば無駄な費用がかかりません。

信頼性や確実性を重要視する方は、返金保証や後払い制度を導入している退職代行サービスを選びましょう。

アフターサポートが充実している

複数の退職代行サービスで迷っている場合は、アフターサポートがどの程度充実しているか比較しましょう。

退職代行サービスによっては、次のようなアフターサポートまで無料で実施してもらえます。

  • 離職票や源泉徴収票など退職関連書類のやり取り
  • 失業保険の申請代行
  • 退職後の転職支援
  • 引っ越し支援

退職後のセカンドキャリアをスムーズに踏み出すためにも、退職代行サービスのアフターフォローは最大限に活用しましょう。

即日退職に対応している

すぐにでも退職したい方や、上司や同僚と顔を合わせたくない方は、即日退職に対応しているサービスを選びましょう。

民法第627条第1項ではすべての労働者には退職の自由を保障しており、退職の申し出から2週間後に雇用契約を終了できると決められています

「即日退職可能」をうたう退職代行サービスでは「退職の申し出から退職までの2週間に有給休暇を適用する」あるいは「欠勤を申請する」などして、実質的な即日退職を可能にしています。

今すぐに会社と縁を切りたい方には、即日退職に対応した業者がおすすめです。

退職代行をする前に準備した方がよいこと

退職代行サービスを利用してスムーズに退職するためには、退職希望者自身で次の事前準備が必要です。

  • 退職理由を明確にする
  • 会社に置いてある私物を持って帰る
  • 引き継ぎ資料を作っておく

確実に退職を成功させるうえで知っておきたい事前準備のポイントを詳しく紹介します。

退職理由を明確にする

退職理由は他人に説明できるレベルまで明確化しておきましょう。

労働者には退職の自由が法律で保障されているため、いかなる退職理由であれ退職できることに変わりはありません。

ただし、退職理由が不明瞭なままだと会社から引き止められたり、退職手続きに時間がかかったりする可能性があります。

退職代行サービス業者に相談する際に具体的な退職理由を説明できれば、業者側もどのような対応が必要なのか具体的に考えられます。

より理想的な退職を実現するためにも、退職理由は明確にしておきましょう

会社に置いてある私物を持って帰る

会社のロッカーやデスクに私物を置いている方は少なくありません。

退職サービス利用時に私物を置いたままだと、取りに行くためにあらためて出社しなければならなくなります

退職者にとって出社したり、上司や同僚と顔を合わせたりするのは大きな負担です。

退職代行サービスの利用後に出社する必要がないよう、前もって私物は持ち帰りましょう。

引き継ぎ資料を作っておく

自身の担当クライアントや業務に関する引き継ぎ資料を作っておくことも、スムーズな退職に効果的です。

引き継ぎ資料があれば会社や後任者に与える業務負担が軽減されるため、会社も退職を認めやすくなります

反対に引き継ぎ資料を用意していない場合、引き継ぎが済むまで出社を命じられる可能性もあります。

不要な出社を防ぎ、円満退職を実現するためにも、余裕のある範囲で引き継ぎ資料を作っておきましょう。

まとめ

本記事では、退職代行サービスにおける具体的な失敗事例とその原因について紹介しました。

]さらに記事後半では、退職に失敗しないための退職代行サービス業者の選び方や、スムーズな退職を実現するための事前準備についても解説しました。

さまざまな原因で会社に退職を申し出られないビジネスパーソンにとって、退職代行サービスは心強い味方です。

とくに弁護士や労働組合が運営する退職代行サービスであれば、会社との条件交渉にも対応してもらえます。

理想の退職を実現するためにも、自身の要望に合った退職代行サービスを選びましょう。

※本記事は可能な限り正確な情報を記載しておりますが、内容の正確性や安全性を保証するものではありません。

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